信州の伝承文化 -長野県無形民俗文化財-

武水別神社の頭人行事 新穀を捧げ、一年の収穫を感謝

国選択無形民俗文化財 【千曲市】

由来・次第

 武水別神社の頭人(とうにん)行事は、新穀を神に捧げて収穫を感謝する新嘗祭(にいなめさい)を、氏子の中から選ばれた「頭人」を中心にして執り行われる祭事である。頭人は五加、更級、八幡地区の旧七郷の氏子の中から、毎年5人ずつ新しく選ばれる。頭人には順位があり、五、四、二、一番頭の順に順位が上がり、三番頭が最高位の「大頭(だいとう)」である。ここからこの祭りは「大頭祭」とも、また趣向をこらしたネリモノ行列が繰り出されることから「オネリ」とも呼ばれる。食物を通じて、神と人が合一する神人合一の祭事であるという特色をもっている。
 12月10日から14日、御供・神饌物を神社へ奉進する献備品奉進祭(おねり)が行われる。10日の一番頭から始まり、二、三、四番頭と進み、14日に五番頭が行う。頭人以下五役が、斉ノ森神社より武水別神社へ向かう際には、宝船や武者行列など趣向をこらした練り物が寄進され、頭人の行列は賑やかに進んでいく。途中、宝船からはミカンや日用品などが沿道にまかれ、人々が争ってこれを拾う。13日は、大頭である三番頭のみが、献備品奉進祭の翌日の夜に夜ねり祭を拝殿で行う。
 11日から15日は御供献備祭(ごくつみ)が行われる。各頭とも献備品奉進祭の翌日の夜に行われ、御供・神饌物を神前に献進する。三番頭だけは13日夜ねりを務めた後、引き続いて行われる。この御供積みで、頭人は奉仕をなし終えたこととなる。

(写真 カシヨ株式会社)

●開催日/12月10日~15日
●開催地/千曲市八幡 武水別神社

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