信州の伝承文化 -長野県無形民俗文化財-

諏訪大社上社十五夜祭奉納相撲 青年力士11人による伝統の相撲踊り

県指定無形民俗文化財 【諏訪市】

由来・次第

 毎年9月15日、諏訪市神宮寺の諏訪大社上社本宮の斎庭で青年力士11名が化粧まわしを着けて輪になり、古式ゆかしい相撲踊りを奉納する。独特の節回しの相撲甚句を歌いながら力士の所作を行い、次いで、土俵上で再び同様の所作を行う。なかでも、相撲の基本である守りと攻めを表現する「胸たたき」の相撲甚句は、全国でも類をみない。
 室町時代より伝わる『諏訪大明神画詞』によると、祭事の終わりには流鏑馬十番、相撲廿番が奉納されていたとの記述があり、往時の相撲神事の伝統を伝えている。
 諏訪には古くから三辻といわれた相撲場があり、賑わいを見せた。江戸時代になると、その一つである上社の辻では、大祝ほか神官たち、また高島藩の家老以下たくさんの武士たちが参詣かたがた相撲を見物し、庶民たちでも賑わったという。
 上社の奉納相撲は、神宮寺の辻で若者たちが相撲を取っていたのが始まりとされ、その記録は文化14年(1817)まで遡ることができる。相撲の運営はすべて神宮寺区の若者仲間(青年会)のつとめであり、その運営記録が今日まで継承されている。弘化3年(1846)には、江戸相撲御司より「永代四本柱免許状」が奉納され、四本柱が建つ公認の土俵となった。
 奉納相撲は高度経済成長のあおりから継承者が減り、昭和34年(1959)から一時中断したが、昭和45年(1970)に神宮寺区長を代表とする保存会を発足し復活した。現在は、地域をあげて区民で保存活動を支え、正しい由緒格式が継承されている。

●開催日/9月15日
●開催地/ 諏訪大社上社本宮

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