信州の伝承文化 -長野県無形民俗文化財-

仁科神明宮の神楽 豪族仁科氏の地に伝わる能神楽

県指定無形民俗文化財 【大町市】

由来・次第

 仁科神明宮秋の例大祭に奉納する神楽。神楽の由来は明らかではないが、中世、仁科氏の時代より、祈願祭等にあたり献奏されてきたと伝えられている。元来、藩内の安全や五穀豊穣、藩主の武運長久を祈願するもので、ときに雨乞いなどの折にも行われた。以前は1月14日、5月14日、9月14日に祭事が行われ、その都度湯立の神事が行われていたといわれる。
 神楽は例大祭当日の午後、神楽殿で行われる。現在奉納されている演目は、剣之舞(つるぎのまい)、岩戸神楽、五行之舞(ごぎょうのまい)、水継(みずつぎ)、幣之舞(ぬさのまい)、龍神神楽、道祖神の七座であるが、明治以前にはこのほかに大蛇の舞があったという。神楽はすべて面、装束をつけた舞方が舞う。謡曲によって劇を演じるものと、舞のみのものとがある。舞はすべての神楽につけられ、笛と太鼓の囃子にあわせて舞われる。剣之舞、五行之舞、幣之舞以外は、謡曲によって舞われ、古風で簡素、優雅である。岩戸神楽は出雲流神楽の系統、水継は湯立神楽の芸能化されたもの、幣之舞は吉田流神楽の系統が混在している。いろいろな系統を受け入れながら今日の型に定着したなかで、出雲流神楽と思われる古い芸能の型を残しているとされる。
 仁科神明宮の神楽は、神明宮の神楽社中によって伝承されてきたが、昭和45年(1970)に仁科神明宮神楽保存会ができ、保存会員によって続けられている。

(写真 仁科神明宮神楽保存会)

●開催日/敬老の日
●開催地/大町市社(やしろ)宮本 仁科神明宮

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