信州の伝承文化 -長野県無形民俗文化財-

式年薙鎌打ち神事 薙鎌を打ち込み風雨鎮護国土の平安を祈願する

県指定無形民俗文化財 【小谷村】

由来・次第

 薙鎌打ち神事は、諏訪大社式年造営御柱大祭の前年にあたる丑年に小倉明神で、未年に境の宮諏訪社で行う。古くは、信濃の国境を示し、諏訪明神の神威の直接及ぶ範囲を示す神事であったという。
 「薙鎌」は鶏のトサカのような形をした諏訪明神の神器のひとつ。諏訪神の信州開拓の象徴であるとか、また「なぎ」が「凪ぐ」に通じることから風雨鎮護、諸難薙ぎ祓うの意味ともいわれる。
 丑年と未年の8月最終日曜日に奉告奉献祭が執り行われる。諏訪大社宮司が、随員とともに大宮諏訪神社へ参向する。神輿とともに薙鎌一口を収めた唐櫃が庄屋太田家から出発。同社へ着くと、祭儀の折に諏訪大社随員が、唐櫃から薙鎌の入った箱を大社宮司へ捧げる。大社宮司は、これを奉持し、所定の座へ進んで大宮諏訪神社宮司へ渡す。拝受した大宮諏訪神社宮司がこれを神前に奉献する。
 奉告奉献祭の翌日、薙鎌打ちの神事が行われる。早朝、もう一口の薙鎌の入った唐櫃は、丑年は小倉明神、未年は境の宮の氏子総代らが担いで神社へ向かう。神社へ到着し、奉献祭と同様の授受が祭儀の折行われ、一旦神前に献ずる。薙鎌を奉持した宮司を先頭に大社宮司、随員と神木に向かい、諏訪大社宮司が薙鎌を受け取り、神木の前へ進んで、木槌を受け取って薙鎌を打ち込んでいく。打ち込み終わると、神職全員が祓詞(はらえことば)を奏上する。
 神木には、歴代宮司の打ち込んだ薙鎌が残っている。

(写真 小谷村教育委員会)

●開催日/丑年・未年の8月最終日曜日の翌日
●開催地/小谷村戸土仲股 小倉明神(丑年)小谷村戸土 境の宮諏訪社(未年)

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