信州の伝承文化 -長野県無形民俗文化財-

日吉の御鍬祭り 五穀豊穣を祈願して山里を練り歩く

県指定無形民俗文化財 【阿南町】

由来・次第

 日吉の御鍬祭りは、五穀豊穣と虫送りの性格の強い祭りであるが、その詳しい由来はわかっていない。寛保2年(1742)に、伊勢国外宮から発したお鍬様が神輿によって運ばれてきた時、上街道で浪合の関所を通ることができず、心川関所へまわってきたがここも通れず、仕方なく和合の金谷へ祀って伊勢に帰ってしまった、というのがこの祭りの起こりとされている。
 金谷に元社があったといわれているが、後にこの御鍬様を村の産土神伊勢社へ分けて末社として祀るようになり、同じ日吉地区に峠を越して2カ所に祀られるようになった。そこで御鍬様の祭りには、伊勢社の御鍬様が金谷の御鍬様に会いに行くようになったといわれている。
 祭りの日は、古くは旧暦3月14日であったが、現在は4月29日を祭典の日としている。この祭りはお練りが中心で、古くから「お鍬様のお練り」といわれていた。鉄製の鍬形の御神体を神輿に移し、伊勢社からお練りをしながら金谷の御鍬様まで行き、さらには金谷の金光家で神楽を奉納し再びお練りをして伊勢社へ帰る。
 御鍬様の祭りは広く愛知県から三重県にかけての農村で行われる春の豊作を祈る祭りで、いつの時代かに、御鍬様・念仏踊り・お練り・湯立神楽の舞が次々に取込まれて、独特な日吉の御鍬祭ができあがったものと考えられている。

(写真 阿南町教育委員会)

●開催日/4月29日
●開催地/阿南町和合日吉 伊勢社・金光家ほか

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