信州の伝承文化 -長野県無形民俗文化財-

親沢の人形三番叟 人形が能がかりの舞を舞う古式豊かな芸能

県指定無形民俗文化財 【小海町】

由来・次第

 古来、親沢諏訪神社の春の禮祭で、五穀豊穣を祈願して奉納されてきた農業祭事。祈年祭(としごいのまつり)の奉納かぐらともいわれ、また、田の神様や、御佐久神(おさくじん)の祭り、虫送り・風祭りに関係するという説もある。
 初演は一般に天明3年(1783)と伝えられているが、人形の古い衣装の裏には宝暦6年(1756)の墨書があり、宝暦8年(1758)の「往来入用帳」にも三番叟のことが書いてある。川平の獅子舞と切っても切れない縁があるとすれば、元禄5年(1692)頃からの芸能と思われる。
 伝承では、田楽能の流れをくむものとされているが、演技の手ぶりや歌詞の文言などは能楽の翁に似ている。
 親沢の人形三番叟は、東舞台で小海町川平区による獅子舞が奉納されるのに続き、西舞台で三番叟を演じる。役柄は、翁、千代、丈の三者。三者はそれぞれ、式三番の翁、千歳、三番叟に相当する。また、白式尉の面をつける翁を天、直面(ひたおもて)(面をつけない)の千代を人、黒式尉の面をつける丈(三番叟)を地に擬し、「天・地・人」の三才を形成するものと解釈されている。詞はめでたい言葉の繰り返しで、豊穣の祈念が主である。
 人間が面をつけて踊る式三番は多いが、親沢諏訪神社のように人形をあやつる古式豊かな芸能は少ない。

(写真 カシヨ株式会社)

●開催日/4月第1日曜日
●開催地/小海町 親沢諏訪神社

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