信州の伝承文化 -長野県無形民俗文化財-

戸沢のねじ行事 子どもの無病息災と豊作祈願

国選択無形民俗文化財 【上田市】

由来・次第

 戸沢のねじ行事は、ムラに悪いものが入るのを防ぎ子どもを守る道祖神の祭りと、稲荷信仰のわらうま引きの行事が習合したものと考えられている。わらうま引きは、2月8日に幼児がわらうまを引いて道祖神にお詣りする行事で、戸沢以外の地区でも行われている。戸沢のねじ行事が他の地区の行事といちばん異なっているところは、餅やぼた餅の代わりに「ねじ」が作られること。わらうまに、自家製のねじを3つずつわらづとに詰めて3俵背負わせ、これを引いて道祖神にお詣りに行く。ねじとは、うるち米の粉に湯を加えてこね、さらに茹でてこねたものに赤や緑の食紅で色をつけたものをねじこみ、中に餡を詰めて木の葉やウサギなどをかたどったもの。
 2月8日の早朝から、幼児や、ねじの入った重箱を手にした母親が、わらうまを引いて道祖神の前へ集まってくる。初市(生まれて最初の道祖神詣り)の子どもは母親の背中に背負われてくる。道祖神のところへ着くと、重箱の中のねじを道祖神に供え、無病息災を祈る。供えられたねじは、誰が持ち帰ってもよい。お詣りを済ませると、居合わせた人同士で重箱の中のねじを交換する。ねじの交換を終えると、わらうまを引いて帰宅する。わらづとを外したわらうまは、あらゆる災いを背負って天高く昇ってくれるようにとの願いを込めて、家の屋根へ投げ上げる。初市のお宅では別に作られているわらづとを親類縁者に配る。こうして、子どもの健やかな成長を祈る。

●開催日/2月8日
●開催地/上田市真田町長戸沢

▲ページの先頭に戻る