信州の伝承文化 -長野県無形民俗文化財-

長谷及び越のドンドヤキ 特異なわら人形や紙人形を焼くドンドヤキ

県指定無形民俗文化財 【長野市】

由来・次第

 長野市篠ノ井塩崎の長谷の平(ひら)、越(こし)の越、越の東谷(ひがしだに)の三集落では、小正月行事として、1月15日に、わら人形や紙人形を作り、これを燃やすドンドヤキが行われる。一般に小正月の火祭りは、正月飾りを処理し、年神送りを行うという性格が強い。そのなかで、長谷及び越のドンドヤキは、防塞のための威嚇、子宝授与の願望といった意味を込めながら、火を燃やすことで厄を追い出す意味を強く受け継ぎ、道祖神祭りのあり方をよく表わしている。たんなる火祭りではなく、わら人形や大きな紙人形を作るなど多様な要素が加わっており、小正月の行事でこのような特異な人形を燃やす例は、長野県内ではまれである。
 長谷地区平では「オンマラサマ」と呼ぶ高さ2~3メートルのわら人形を作り、越地区越では「オスガタ」と呼ぶ3メートルを超える高さのわら人形を作る。越地区東谷では「カンタサン」と呼ぶ高さ70~80センチほどの夫婦二体の紙人形を作る。これらの人形の周囲に正月の注連飾りやダルマを積み重ね、夕方、点火し勢いよく燃やす。
 三地区では、ドンドヤキの火で餅を焼いて食べたり、燃え木で沸かした茶を飲むことで風邪予防としたり、燃え木の火を消してから屋根に上げて火災除けの呪(まじな)いとしてきた。
 かつては若い衆組が運営し、日待ちをしたというが、現在は親と子で行う集落行事となっている。

●開催日/1月15日前後(年により異なる)
●開催地/長野市篠ノ井塩崎長谷地区平、越地区越、越地区東谷

▲ページの先頭に戻る