信州の伝承文化 -長野県無形民俗文化財-

おたや祭りの習俗 素朴な農民芸術として伝承される山車飾り

県選択無形民俗文化財 【長和町】

由来・次第

 「おたや祭り」は長和町古町の豊受大神宮の例大祭で、町内5カ所で山車飾りが奉納される。ここで飾られる山車は一般的な引き歩く屋台式の山車ではなく、固定して飾られることが特徴で、素朴な農民芸術であり民衆芸能として伝承されている。「おたや」の名の由来は、新しく水田を開くために建てられた田小屋を指す「田屋」とも、また大麻(たいま)(神札)や暦を配ったり布教に巡回する御師(おし)の宿泊所「旅屋(たや)」ともいわれる。この旅屋が時とともに神聖視されるようになり、やがて旅屋のある伊勢社の祭りを「おたや祭り」と呼ぶようになったとする説がある。
 本来山車は、神降臨の場に「やま」を作って神祭りをした古い信仰から発生したものだったが、現在では依代(よりしろ)という観念は影をひそめ、祭りの際に奉納する出しもの、飾って鑑賞するものととらえられている面が大きい。
 山車づくりに参加するのは、区会単位で構成する上町、上中町、中町、下町・藤見町、桜町の各保存会。山車の題材は区会単位で決められる。歴史上の物語や日本のおとぎ話の名場面、また、干支にちなんだものなどが選ばれる。基礎となる木組の型に定型はなく、自然の風景などに意匠を得る。ここへ、等身より大きな人形やデフォルメした動物などを配していく。こうして、素朴さのなかに風雅が漂う造形を作りあげていく。

(写真 長和町教育委員会)

●開催日/1月14日・15日
●開催地/長和町古町 豊受大神宮

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