信州の伝承文化 -長野県無形民俗文化財-

高岡の小豆焼き行事 小豆のまわり方で世相や豊凶を占う

国選択無形民俗文化財 【長野市】

由来・次第

 長野市若穂保科の高岡地区では、1月15日のどんどん焼きに引きつづいて、道祖神日待占い「小豆焼き」が行われる。「日待ち」とは、前夜から集まって飲食や歌などをともにしながら潔斎し、翌朝の日の出を拝む民間行事。昭和初期頃までは、正月行事として保科地区では広く行われていたが、その後次第に途絶えていった。高岡地区でも昭和30年代にいったん消滅したが、昭和54年(1979)復活し現在に至っている。
 小豆焼きは、地区の氏神・専達三嶋神社の信徒「三嶋講」の若い衆により行われる。昔は前年に結婚したり家屋を新築するなど祝いごとのあった家で行われていたが、現在は公民館が会場となっている。
 どんどん焼きの後、正副2人の頭役は川へ行って身を清めてから占いを始める。囲炉裏のまん中にカワラケと呼ばれる鉄製の灯明皿をのせて、真っ赤に熱したところで、カワラケの灰を吹き払い、そのなかに水洗いした小豆を一粒ずつつまんで入れる。小豆のまわり方で、道祖神と専達三嶋神社のご機嫌をうかがい、続いて世の中や組内の様子、風・水の有無、農作物の豊凶など、35項目を次々に占っていく。占いの判じは、小豆の動き、まわり方で5段階に区別される。こうした正式な占いが終わると、勉強や縁談などの余興の占いも行う。
 いまでは高岡地区のみに受け継がれる風習で、江戸時代から行われている素朴な行事である。

(写真 長野市教育委員会)

●開催日/1月15日
●開催地/長野市若穂保科 高岡区公民館

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