信州の伝承文化 -長野県無形民俗文化財-

上田市八日堂の蘇民将来符頒布習俗 除災・招福の願いが込められた蘇民将来符

国選択無形民俗文化財 【上田市】

由来・次第

 上田市国分の信濃国分寺では、1月7日・8日の「八日堂縁日」で「蘇民将来符」が頒布される。蘇民将来符は、古くから全国各地に伝わる厄除けの護符。文明12年(1480)書写の「牛頭天王(ごずてんのう)之祭文(さいもん)」が残されているので、八日堂縁日における蘇民将来の信仰は、遅くとも室町時代後期には広まっていたようである。
 信濃国分寺の蘇民将来符は、ドロヤナギ、ドロノキと呼ばれる樹木を六角塔形に作ったもので、形状や模様の一つ一つに意味があり、6つの側面には「大福・長者・蘇民・将来・子孫・人也」の文字が記されている。はじめは、ヤナギを使った板状の木札だったものが、戦国時代から江戸時代初期には角柱状の護符に変化したと考えられる。
 蘇民将来符は、蘇民講とよばれる江戸時代から信濃国分寺門前に家を構える古い家系の人々によって製作され、寺へ奉納する護符のほかに、蘇民講の人々はその家独特の七福神を描いた「絵蘇民」を一定数製作する。
 1月7日、午後1時頃から、寺の蘇民将来符が頒布される。護符は7種類あわせて1万数千体が用意される。8日の朝8時からは、本堂前の石畳の両側で、蘇民講の七福神が描かれた「絵蘇民」が頒布される。参拝者たちは、買い求めた護符を家々の門口に飾ったり神棚に供え、一家の除災、開運、繁栄を祈る。

(写真 信濃国分寺)

●開催日/1月7日・8日
●開催地/上田市国分 信濃国分寺

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