長野県の芸術・文化情報センター公益財団法人 八十二文化財団
八十二文化財団では機関誌『地域文化』をはじめ、
県内の文化の調査研究の成果を報告書にまとめ発刊しております。
信州には数多くの「山城」があったことが分かっている。広義では山に築かれた城を山城というが、標高あるいは比高何メートル以上であれば山城であるといった分類はされていない。本号では、中世期に軍事的な目的で山中に築かれた城(中世城郭)を山城として扱う。山城での攻防は、中世の人々にとっては生きるか死ぬかの瀬戸際だったが、現代では城巡りや眺望の良さを生かしたトレッキングコースなどとして楽しまれ、文化遺産として地域の人々によって大切に守られている。本号ではそうした山城を愛する人々から話を聞き、山城の価値を未来へと伝える意義について考察したい。