信州の伝承文化 -長野県無形民俗文化財-

泰阜村南山の榑木踊り 年貢の完納を喜び踊る

県指定無形民俗文化財 【泰阜村】

由来・次第

 泰阜村南部は南山五百石と呼ばれた天領(幕府直轄地)であり、米の代わりに年貢として榑木を納めていた。慶長年間(1596~1615)に南山の奥地が榑木山に設定され、南山の各村は榑木年貢を上納する榑木成り村となった。榑木は、支流から天竜川に流され、遠州へ流送された。完納祝いの祭礼は、梅雨明けの旧暦七月に山元の漆平野(しっぺの)村を皮切りに梨久保池野社まで、旧6カ村を順に踊り継がれた。榑木踊りは、この年貢の完納を祝い、氏神に奉納する祭礼踊りである。この祭礼踊りの源流は念仏踊りにあるとされている。
 榑木踊りの準備をする家を宿と呼び、この宿においてお神酒をいただいた後、宿の庭、産土神様や山の神へ榑木踊りを奉納する。踊りの唄の中にあらゆる神の名が出ており、それぞれにお祈りする。宿踊りが終わると、踊りの行列は移動を開始し、道中の神様にもそれぞれ奉納する。
 柳を中心に切子燈籠、幡などを円形に立ちそろえ、音頭取りの発声と笛によって踊り始める。踊り手は鉦、太鼓を打ちつつ踊る。現在は、8月第3土曜日に温田(ぬくた)で行われている。
 榑木踊りは、天龍村大河内・向方・坂部の掛け踊り、飯田市上村下栗の掛け踊り、阿南町和合の念仏踊りとあわせて「下伊那の掛け踊り」として、平成11年12月に、包括して国の無形民俗文化財の選択を受けている。

(写真 泰阜村教育委員会)

●開催日/8月第3土曜日
●開催地/泰阜村温田地区

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