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「信州のみずうみ」
阿部 祐己
①鏡池 (長野市戸隠)標高 1,150m
戸隠連山の麓に位置する池。周囲には2000年の歴史を持つ戸隠神社が位置し、修験道の世界さながらの空気が、今なお色濃く残っている。池そのものは農業用の溜池として作られたもので歴史は浅く、元々は湿地帯だった。名前の由来は水面が鏡のように反射して山々や景色を写すため。池から一本だけ顔を出した立ち枯れた木が古の姿を今に残している。
②諏訪湖 (諏訪市、岡谷市、下諏訪町) 標高 759m
県下最大の湖。古来より諏訪の “海” と呼ばれて、親しまれてきた。埋め立てが進み湖の面積は昔に比べると小さくなっている。戦後に生活排水等の影響で富栄養化が進み一時期環境汚染が深刻であったが、水質改善活動の成果により徐々に水質が向上してきた。毎年8月15日に行われる諏訪湖上花火大会はその規模、美しさから日本一とも呼ばれ、信州の夏の終わりを告げる風物詩となっている。
③松原湖 (小海町)標高 1,123 m
八ヶ岳の麓、小海町に位置する湖。松原湖という名前は周辺の3つの湖の総称であり、その中でも一番大きな猪名湖を指して使われることが多い。平安時代の887年(仁和3年)に発生した地震により発生した山崩れで、大月川が堰き止められて湖となった。湖畔には松原諏方神社が鎮座し、湖を囲む森には保護された原生林が生い茂る。名前の由来にもなっている松は古いもので樹齢千年を超えるものも現存する。
④中綱湖 (大町市)標高 820m
仁科三湖と呼ばれる湖のうち一番小さな湖。糸魚川から太平洋につながるフォッサマグナの西端に位置する。湖水は北隣の青木湖から水が流入し、南隣の木崎湖へと流出する。釣りの名所として有名で、冬季には全面結氷した氷の上にテントを張り、氷に穴を開けてワカサギ釣りに興じる人々で賑わう。湖の横を沿うように続く道路は"塩の道"として有名な千国街道。国道、鉄道と共に古道も整備され、多くの人々が散策を楽しむ。
⑤野尻湖(信濃町)標高 654m
信越国境にほど近い信濃町の湖。その歴史は古く数万年前から湖が存在していたとされており、湖畔や湖底からはナウマンゾウやオオヅノジカの化石が発掘されている。戦国時代には甲斐の武田信玄と越後の上杉謙信の係争地となり、湖の島には信濃・琵琶島城が築かれた。湖開きを翌日に控えた春、濃い霧の中に浮かぶ琵琶島が顔を見せた。
⑥大正池(松本市)標高1,500m
飛騨山脈の谷間にある景勝地"上高地″の池。1915年(大正4年)に起きた焼岳の噴火の際、梓川が堰き止められて出来た池で、その歴史は比較的浅い。水没した木々が立ち枯れてかつての名残を見せるが、年月の経過とともにその数は減っている。周辺は野生動物の宝庫であり、猿の群れやカモの親子などが頻繁に顔を覗かす。3,000mを超える穂高岳から流入する雪解け水は真夏でもとても冷たい。
⑦白駒池(佐久穂町、小海町)標高2,115m
八ヶ岳山麓に位置する池。標高2,000m以上に位置する池としては日本で最も大きい。山と山の間に位置し、周辺は豊富な原生林に囲まれている。辺りには神秘的で貴重とされる苔が自生する。10月上旬には紅葉がはじまり多くの観光客で賑わうが、11月に国道が閉鎖されると、打って変わって物静かな池へと変貌する。池の名前になっている白駒は地元に伝わる民話に由来する。
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