展覧会の詳細GALLERY
「信州の風景」
吉村 和敏
「農道を走る軽トラック」(大町市美麻)
1,000m級の山々に抱かれるように位置するこの地域は、かつて良質な麻の産地として知られていた。
県道497号線沿いの新緑を楽しみながらドライブをしていたら、突然、満開の桜が目に飛び込んでくる。やがて、花の香りを運んでくるかのように、ゆっくりと一台の軽トラックが近づいてきた。
「常念岳を望む田圃」(安曇野市堀金烏川)
うららかな日射しを浴び、アルプスの峰で輝く雪は急速に解けていく。
ここ安曇野では、多くの水田で田植えが行われていた。週末ということもあり、手伝いをする子供たちの姿も見かける。
心地よい春風と共に、家族のほのぼのとした会話と、田植機から発する心地よいエンジン音が聞こえてくる。
「立ちのぼる野焼きの煙」(千曲市八幡)
千曲川を見下ろす高台に広がる姨捨の棚田は、国の重要文化財に指定されている。
暑い夏の午後、野焼きの煙が天高く舞い、入道雲に溶け込んでいた。そんな舞台のような光景にカメラを向けていたら、突然お爺さんが現れる。
過去の時代にタイムスリップしたかのような不思議な感覚を味わった。
「野菜の種」(塩尻市奈良井)
旧中山道の奈良井宿には、江戸時代の面影を色濃く残す情緒ある町並みが残されている。
木曽漆器や木工芸品が並ぶ店先で見つけたカラフルな色彩。この地を訪れる観光客が、不意に手を伸ばし、気になる野菜の種を買っていく。
信州らしい暮らしの一コマにふれ、思わずシャッターを押した。
「下栗の里」(飯田市上村)
標高800m〜1000m、南アルプスを望む傾斜面に家屋や耕地が点在するこの山里は、「日本のチロル」と呼び親しまれている。
対向車に注意しながらつづら折りの道を登り、山林に延びた山道を15分ほど歩くと、「天空の里ビューポイント」に出た。
まるで箱庭のような小さな集落は、秋色に彩られた木々に抱かれていた。
「たわわに実る柿」(上田市古安曽)
近くには、国の重要文化財に指定された三重塔がある前山寺や、戦争で散った画学生の絵画や作品を展示する無言館がある。
畦道に、実をたわわにつけた1本の柿の木があった。田圃の稲刈りは終わり、銀杏の木々はすでに葉を落としている。
冬枯れした大地に栄えるオレンジの色彩は、ひときわ目に眩しかった。
「温泉で体を温めるニホンザルの親子」(下高井郡山ノ内町)
志賀高原を源とする横湯川の渓谷に位置する地獄谷野猿公苑。ここでは、より自然に近い状態で野生のニホンザルの生態を観察することができる。
小雪が舞う寒い日に訪れると、たくさんの猿たちがのんびりと温泉に浸かっていた。目の前で大型カメラを構えシャッターを切っても、この親子は全く気にすることはなかった。
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