展覧会の詳細GALLERY
「信州・銭湯紀行」
中沢定幸・大井川茂・渡邊美保
①梅の湯 (長野市松代町鍛冶町940-2)
看板も外壁もロッカーも、いたるところが緑色。おかみさん曰く、人が安らぐ色だから緑色にしている、とのこと。
365日、毎日営業しているけど、なかにはおしゃべり目当てで来ている常連さんもいるらしい。お湯も、イメージカラーの緑色もお客さんを癒すけど、一番みんなを癒しているのは、ご主人夫婦の気遣いかもしれないな。
②柳の湯(上田市中央4-10-1)
大きな窓から、磨りガラスを通して明るい光が差し込む。
風呂椅子の代わりに置いてあるのは、真四角に整えられた木のブロック。先代の頃から使ってた緑色の風呂椅子や体重計などは、もう修理屋さんが近くにいないらしい。
昔はたくさんあったであろう川沿いの柳も今は見られないけれど、このお湯だけは、ずっとそのままでいてほしいなぁ。
③富士の湯(松本市本庄2-9-8)
天井が高くて、開放感のあるお風呂。湯船の奥の窓からは、小さいながらも風情のある中庭が見える。創業時に瀬戸で焼いたパノラマ画面のタイル画で男湯と女湯を仕切っている。描かれているスイスの風景が、なんだか中庭の風景とつながっているみたいだ。そういえば、ここは松本。スイスの雄大な風景と日本の北アルプスを重ねながら、ゆっくり湯船に浸かるとしよう。
④平湯(諏訪市小和田17)
組合加入者しか入れない温泉は、地元の人たちに愛され、支えられてきたお湯だ。その昔、隣の「上湯」が武士専用だったのに対して、こちらは平民専用の「平湯」とされたと言う。いやぁ、身分なんてどうでもいいから、みんなで一緒に温まってこの温泉を守っていきましょう。湯船に入って、このレトロな木造建築の梁を眺めていると自然とそんな気持ちになるのだ。
⑤アルプス温泉(長野市新田町1481)
長野駅から善光寺へと続く表参道。途中で少し脇道に入ると、赤い屋根に白い窓の、かわいらしい建物が見えて来る。入口の壁面はレンガ調。風呂場では、絵本を参考に作ってもらったという、何とも愛らしいモザイク調のタイル画が迎えてくれる。聞けば、創業から150年余りの歴史を持つ老舗銭湯だそう。市街地のど真ん中にありながら、家庭的な雰囲気でみんなの身も心も温めてきたお湯なんだなあ。
⑥宮桜の湯(上田市常田3-14-3)
青空をバックに立ち上る煙突の白い煙を確認して、今日もいそいそと支度する。タイル張りの湯船に、「ケロヨン」の黄色い桶。ゆっくりとお湯につかりながら眺めるのは、銭湯によくあるペンキ絵の富士ではなく、アートな壁画。レトロとモダンが交錯し、日常からちょっとだけ非日常へと逃避する、なんとも居心地のよい空間。さあ、ひとっ風呂浴びていきますか。
⑦桑の湯(塩尻市大門1-15-17)
いかにも銭湯らしい煙突と瓦屋根。脱衣所に入ってふと上を見ると、そこには格式高い格天井が。浴室との間を仕切る、ガラスの入った欄間状の建具にも、江戸の銭湯とは違った、慎ましくも凛とした趣がある。以前は銭湯と一緒に製材所も営んでいたそうだから、こんなに落ちつく木の建物になったのかなぁ。薪で湧かしたお湯で身体を暖めたら、脱衣所のソファーでゆっくりその空間を楽しむとしよう。
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