信州の伝承文化 -長野県無形民俗文化財-

清内路の手づくり花火 清内路に残る手づくりの奉納花火

県指定無形民俗文化財 【阿智村】

由来・次第

 清内路の花火は、江戸時代村の特産物だった煙草と木櫛の行商に出かけた村人が、煙草と交換に花火製造の秘法を三河の国から入手してきたと伝えられている。享保16年(1731)、諏訪社再建のときには、昼は手踊り、夜は千本竜勢や大竜勢・手筒・大手筒などを3日間奉納して、村中の人々を狂喜させていたと伝えられる。この三河式の花火は伊那谷各地に広く存在していたが、現在は阿智村清内路に残されている。
 明治中期までは、打ち上げ、仕掛け、竜箭などすべてが村内で製造されていた。上清内路は堀田・土佐・宮・西の4組、下清内路は中・龍一・本の3組、合計7組がその技を競い合った。戦後は青年が村外に流出し、また火薬類取締法強化により伝統技術の継続が危ぶまれた。そこで村では有志が集まり、花火の継承維持に努力した。村民の熱意により、数十名が、花火製造・火薬取り扱い等の国家資格を取得し、奉納花火が挙行された。各組とも手づくり花火の製造の細部については非公開で、美しい仕掛け花火製造の競い合いは今も変わっていない。
 奉納花火は、上清内路諏訪神社では10月6日に、下清内路諏訪神社・建神社では10月12日に行われる。上清内路と下清内路の仕掛け花火は異なるが、手筒・綱火・棚火・ブドウ棚・花傘・巴車(しゃくま)・噴水・神前などが行われ、最後に大三国(だいさんごく)(直径10センチ、長さ1.5メートル程度の竹筒花火)に点火される。

(写真 上清内路煙火同志会)

●開催日/上清内路 10月6日、下清内路 10月12日
●開催地/上清内路諏訪神社、下清内路諏訪神社・建神社

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