信州の伝承文化 -長野県無形民俗文化財-

田立の花馬祭り 諸願成就を感謝して練り歩く花馬の行列

県指定無形民俗文化財 【南木曽町】

由来・次第

 花馬祭りは、毎年10月の第1日曜日に、豊作・安産・家内安全などの諸願成就を感謝して五宮神社で行われる。五宮神社は、明治41年(1908)に、南宮社・大平社・八幡社・熊野白山社・神明社が合祀し、南宮社だったところにおかれた。花馬は、湯立てを行っていた神明社を除く4社で行われていたもので、田立の古い文書によると290年前から伝わっていたと思われる。
 先頭馬には神が宿るヒモロギを、中馬には豊作を表すキクを、後馬には南宮社社紋の日月の幟を立て、そのまわりに五色の色紙によって稲穂をかたどった竹を365本ほど差し回している。花馬の名称はこうした飾りから生まれた。なお、神馬は純系木曽馬である。
 正午過ぎ、田立の駅前を出発した花馬の行列は、五宮神社の幟を先頭に各地区の代表、その後ろに笛・太鼓の囃し方、最後に花馬3頭がついて、五宮神社をめざしてゆっくり進む。五色(青・黄・赤・白・黒)の幟はそれぞれ、明るい空・豊かに実った五穀・太陽・澄んだ水・肥沃な耕地を示しており、五穀豊穣とそのよき天恵への感謝を表している。
 花馬の行列が神社に到着し、境内を3回まわり終えると、人々が一斉に馬に飛びついて花を取り合う。花を家に持ち帰って、家の入り口にさすと家内に厄病神が入らない、田畦にさすと虫除けの守りになるといわれる。特にヒモロギを取った人には最大の幸福があるといわれる。

(写真 社団法人 信州・長野県観光協会)

●開催日/10月第1日曜日
●開催地/南木曽町田立 五宮神社

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