信州の伝承文化 -長野県無形民俗文化財-

和合の念仏踊り 古い盆の風流の儀礼を伝える

国選択無形民俗文化財 【阿南町】

由来・次第

 和合の念仏踊りは、寛保2年(1742)に15代目金吾(雷公五良助)が昔の江戸表へ免訴願いに出た戻り道に、習い覚えて村人に伝え、今日に至ったと言い伝えられている。また、和合の総本家である宮下家の出身の地遠州に伝わる遠州大念仏は、念仏行事が毎年7月に行われており、和合の念仏踊りとは名称や歌謡などに多少の違いはあるが、共通したものがあるといわれている。
 8月13日夜8時、念仏踊りに参加する人たちは、林松寺から熊野社へ向かう。熊野社境内で庭入りの踊りが行われた後、本殿前で念仏、続いて和讃を唱える。これが終わると宮下家へ向かう。宮下家の庭では庭入りと念仏の後、庭ほめの和讃を唱える。このあと一行は林松寺へ引き返して庭入りのみを行う。14日と15日は、林松寺で庭入り・念仏・和讃を行う。16日は、13日と同じ行程で庭入りを行い、林松寺での庭入りの後、太鼓など道具を納めると、一斉に盆踊りをはじめ夜の更けるまで続く。
 念仏踊りの中心は庭入りである。6人ないし7人の者が、太鼓を打ち、1人が鉦を鳴らしヒッチキが竹のササラをザラザラとすり合わせながら飛び跳ねる。ヤッコは長さ2メートルの竹の先についたチガヤをぐるぐるとまわす。太鼓、鉦、ササラの重なり合ったかん高い音と、裸足になって、ところ狭しと飛び跳ねる男たちの動作が重なる。

(写真 和合念仏踊り保存会)

●開催日/8月13日~16日
●開催地/阿南町和合 林松寺、宮下家、熊野社

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