信州の伝承文化 -長野県無形民俗文化財-

大宮諏訪神社の狂拍子と奴踊り 豊年の願いを込めた狂拍子と奴踊り

県指定無形民俗文化財 【小谷村】

由来・次第

 中谷大宮諏訪神社の例大祭では、狂拍子と奴踊り、獅子舞が奉納される。
 狂拍子は、祖先たちの豊年や増産への願いを表現したもので、10歳くらいの男子2人が、陰陽合体を意味するといわれる舞を踊る。舞い手は、前方の子は2本、後方の子はやや長めの1本の飾りのついた棒を持ち、笛や太鼓、手拍子(鉄のシンバル)、かけ声などの囃子にあわせて踊る。その姿は軽快でかわいらしい。過去には村内の神社など8カ所で奉納していたが、人口減少でその多くが途絶えた。
 奴踊りは、毎年12人の奴が自分たちで詠んだ歌を神に奉納するもの。現在、歌は三首歌われる。歌詞の内容は一番は神徳を称えその年の作柄を詠んだ歌、二番はおもに郷土に関する歌(近年は時局世相を詠むこともある)、三番は時局世相の歌である。奴踊りは中谷地区の長崎、高地、千沢の3地区の氏子が奉納する。歌は寄り合いで作詞され、例大祭当日まで極秘とする。奴の人数は、1年12カ月にちなんで12人。いくつかの所作の後、警護を中心に12人は円を作り、自分たちの作った歌を、踊りの円が一回りするごとに1首ずつ1番から3番まで歌う。
 獅子舞は、まず天からの降臨、続いて地を固める所作を演じた後、油単、幣束、剣と次々に持ち替えるごとに四方を祓い清める。一旦眠りについた後、狂い獅子となって舞は終わる。

●開催日/8月最終日曜日
●開催地/小谷村中土 中谷大宮諏訪神社

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