信州の伝承文化 -長野県無形民俗文化財-

松本のぼんぼん・青山様 夏の夜に子どもたちの声が響く

県選択無形民俗文化財 【松本市】

由来・次第

 ぼんぼんと青山様は、ともに江戸時代末期から城下町松本の本町・中町・東町を中心に始まったといわれているが定かではない。
 ぼんぼんは女の子の行事であり、かつては女の子にとって浴衣を着て、ポックリ下駄を履くことが何よりも楽しみであったという。「盆々」とも表記され、女の子たちが哀愁をこめて歌う盆唄から、ぼんぼんと呼ばれるようになった。紙で作った花を頭に飾り、浴衣にほおずき提灯を提げ、ぽっくり下駄を履いて町内を歌い歩く。かつては「盆を組む」などといって、女の子が互いに肩に手をかけて町内を練り歩いたというが、今は列を組んで歩く。歌は哀調を帯びたメロディで、先祖の霊を鎮める行事ともいわれる。
 青山様は、男の子の行事で、かつては夜遅くまで遊ぶことが許され、賽銭を強要したり他の町内と神輿をぶつけて喧嘩をすることもたびたびあったという。青山様の名称は、杉の葉でこんもりと青い山をかたどった神輿に、祖霊が降りて鎮座するということから「青山様」とつけられた。「青山神社」という小さな幟を立てた神輿を担ぎ「青山様だい、わっしょいこらしょ」などと掛け声をかけながら町内の各家をまわる。神輿には、先祖の霊を迎えるものといわれる青杉が盛られる。森に祖霊が宿るという民俗信仰の表れと考えられる。

(写真 松本市観光温泉課)

●開催日/8月上旬(七夕から盆まで)
●開催地/松本市内一円

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