信州の伝承文化 -長野県無形民俗文化財-

深見の祇園祭りの習俗 優雅で幻想的な花火の祭り

県選択無形民俗文化財 【阿南町】

由来・次第

 祇園祭りが行われる津島社は、諏訪神社の境内にまつられている。諏訪神社は深見区の鎮守社で、小さな丘の上にあり、西南に深見池を見下ろす。津島社は、昔この地に疫病が流行したので、天保7年(1836)6月に尾張の津島神社より分霊を迎えてきたという。深見の祇園祭りは、筏を浮かべるのは尾張津島神社のだんじり船と関係があり、お山かざりは八坂神社の「お山」と関係を持つものと考えられる。また、深見池に幣束を投ずるのは、人形に御霊を乗り移らせ、それを他の国へ追い払う神送りが原型ではないか、すなわちお祓いの行事ではなかったかといわれる。
 夕方、諏訪社の拝殿から神輿が神前の庭に運び出され行列に加わり、池へと下っていく。池に到着すると、神輿は筏の中央に安置される。筏が岸を離れ、しばらくすると、筏につるしてあった仕掛け花火に火が点じられる。午後8時頃、湖上の筏の中で祭典が始まり、神輿の扉を開け神酒・御饌・塩などを供え、祝詞を奏上し、玉串を奉奠する。終わると、筏に飾ってあった大幣を神主が筏のへりより水の中へ納め、白の幣束が湖上を流れていく。囃子を奏し仕掛け花火を打ちながら、筏は湖面を一周して出発地点に戻ると、花火が盛大に打ち上げられる。午後10時頃、神輿はじめ一行が諏訪神社に到着すると、三国に火が点じられ、火の粉の中できおいが始まり、花火の祭りの最後を迎える。

(写真 阿南町教育委員会)

●開催日/7月第4土曜日
●開催地/阿南町東条深見 諏訪神社

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