信州の伝承文化 -長野県無形民俗文化財-

駒ヶ岳神社の太々神楽 一子相伝で伝わる格式ある山岳神楽

国選択無形民俗文化財 【上松町】

由来・次第

 駒ヶ岳神社の太々神楽は、登下山や信者の祈願奉納の祈祷として行われたもので、神社創建とともにその起源が語られている。駒ヶ岳神社は、御岳神社とならぶ山岳信仰として、信濃一円、遠く尾張にも講社があり、信者も数多くいる。山の名のように馬の神、また養蚕の神としても有名である。
 お年寄りは「古宮の太々神楽」と呼び、子どもたちは大太鼓の拍子の音から「デンコ・デンコ」と呼んでいた。祭りの行われる日には、老若男女みな弁当に一重持って、お宮で太々神楽の舞を見たり、山中にござを敷いて、飲食を楽しんだ。民俗学でいう古い山遊びの名残が伝わっている、という人もいる。
 毎年5月3日、五穀豊穣を祈って駒ヶ岳神社里宮の拝殿の舞台で13座奉納される。三剣舞・四神五返拝(ししんごへんぱい)などは、舞台いっぱいに繰り広げられ、白刃を持った神楽司の舞動作に迫力があって素晴らしく、鉾舞は遠く出雲神楽の流れをくむ舞といわれている。四神五返拝は、天の清浄、地の安全、人の和楽を祈願して四神に五返拝する舞であり、また、三剣舞は修験道の姿を伝える舞といわれ、動きがはげしく男性的な舞である。
 この太々神楽は、東小川の氏子の、定められた農家の長男に申し送るという、大変珍しい一子相伝(いっしそうでん)形式で伝えられている。

(写真 社団法人 信州・長野県観光協会)

●開催日/5月3日
●開催地/上松町小川 駒ヶ岳神社里宮

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