信州の伝承文化 -長野県無形民俗文化財-

大島山の獅子舞 獅子を曳く豊かな里

県指定無形民俗文化財 【高森町】

由来・次第

 大島山の獅子舞は、瑠璃寺本尊薬師如来の縁日とその守護神である日吉神社の春の祭礼に、五穀豊穣・災害消除・里人安穏を祈願して奉納されてきたものである。
 信州各地に多く行われている獅子舞は頭にかぶって舞う大神楽獅子であるが、大島山の獅子舞は幌を掛けた大きな屋台を胴体にして、中に大太鼓・小太鼓・笛衆など大勢入って楽を奏し、幌の前の獅子頭が練り舞う。飯田、下伊那地方に伝わる数多くの屋台獅子は、瑠璃寺の獅子舞が源流といわれ、地域毎に工夫が加えられたものである。獅子舞の音曲も、獅子曳き役の宇天王の所作も優雅なもので、舞楽から来ているといわれる。
 獅子舞の開始前に小猿が瑠璃寺客殿と本堂の間を何度も往復するなか、瑠璃寺の住職と関係する伊那谷の僧侶が、稚児行列とともに客殿から本堂へ向かい大般若を転読する。稚児・僧侶が戻ると「デハ」というゆったりとした曲が始まる。猿がおどけた身振りで見物人を整理したり、女鬼と男鬼が突然飛び出し場を鎮めていると、宇天王が客殿からゆったりとした足取りで現れ、頭を地面に据えて眠っていた獅子を起こす。この後、「道中囃子」に変わり、獅子が暴れ、それを宇天王が鎮めるという所作をくり返しながら本堂へと進む。本堂前で獅子が疲れたようにその場に寝込むと宇天王は綱を曳く。獅子が目を覚まして飛びかかると、刀を抜くふりをして獅子を鎮める。この時獅子花が投げられ、観衆はこれを奪い合って取る。

(写真 カシヨ株式会社)

●開催日/4月第2土・日曜日
●開催地/高森町大島山 瑠璃寺

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