信州の伝承文化 -長野県無形民俗文化財-

雪祭り 雪を豊年の予兆と見て豊作を祈る農耕芸能

国重要無形民俗文化財 【阿南町】

由来・次第

 雪祭りは阿南町新野の伊豆神社の祭り。古くは仁善寺のお祭り、正月神事、または田楽祭りと呼ばれ、通称雪祭りとも呼ばれていた祭りであったが、大正の終わり折口信夫博士がこの地を訪れ、「雪を田の作の象徴と見て神前に供えなければ、この日の祭儀は行われないと信じられていた」と学会に紹介、以来「雪祭り」で統一されるようになった。
 1月14日夕方、お上(のぼ)りの行列が伊豆神社に着くと、神楽殿の儀、本殿の儀などを行い、祭りは夜を徹して15日の朝まで続く。午前1時頃、見物人が「ランジョウ、ランジョウ」と叫ぶと大松明に点火され、同時に庭での舞が始まる。面をつけた神々が次々と登場し舞う。まず柔和な面をかぶった幸法(さいほう)が松と田うちわを持って舞う。その後、幸法と対象的にきつい面を被り、幸法を真似る茂登喜(もどき)、二人が馬形をつけて舞う競馬(きょうまん)、宮司が牛形をつけ拝殿の屋根に弓矢を射るお牛(うし)と続く。その後、翁・松影・正直翁(しょうじっきり)の翁3人が次々登場する。続いて、海道下り、神婆(かんば)、天狗(てんごう)、八幡(はちまん)、しずめ、鍛冶らが相次いで舞われる。
 境内で鍛冶が際限もなく演じられている最中、松明の火が燃え尽きた横にこもを敷き、太鼓を置いて、その上に稲穂・穀種・餅をのせ、宮司・禰宜・上手が田遊びのお宣命を唱えて祭りが終わる。迎える年の豊作を祈りながら行われる呪術演技であり、祭りの最終目的はこの田遊びにある。

(写真 社団法人 信州・長野県観光協会)

●開催日/1月13日~15日
●開催地/阿南町新野 13日 諏訪神社、14・15日 伊豆神社

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