信州の伝承文化 -長野県無形民俗文化財-

草越の寒の水 凍てつく夜にふんどしひとつで冷水をかぶる

県指定無形民俗文化財 【御代田町】

由来・次第

 草越の寒の水は、御嶽行者による行の流れをくむ行事。明治中期までは、毎年1月14日から7日間にわたり、御嶽行者が愛宕山成就堂と呼ばれる草越地区内の護摩堂にこもって護摩を焚き、祈祷した。また、あわせて火伏せや刃渡りなどの験術や寒行を行った。その後いつしか行者たちの姿は見られなくなり、代わってこの行事は、村の年配者や総代が先達として先導し行う年中行事となった。現在は大寒入りにあたる1月20日の夜、五穀豊穣や無病息災、新築した家の除災繁栄を祈願して、草越地区の青・壮年たちが水行者となって冷水をかぶり、村の鎮守に参詣するかたちとなっている。
 1月20日午後、水行者たちは年番宿と呼ばれる神宿(現在は公民館)に集まり、当日夜に身につける兎巾(ときん)と呼ばれるカンムリをワラで作る。午後6時頃、水行者たちは赤いふんどし一丁に草鞋履き、兎巾を頭にのせた姿で、一斉に飛び出していく。村内6カ所に用意された手桶へ我先にと駆け寄り、桶の水を威勢よくかぶって精進潔斎をしていく。水行者たちは集落内の神仏に詣で、最後に熊野神社へ参詣して兎巾を奉納する。

(写真 御代田町)

●開催日/1月20日
●開催地/御代田町草越地区

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