信州の伝承文化 -長野県無形民俗文化財-

箕作の道陸神祭り 新しい村人を迎え入れる歓迎の行事

県指定無形民俗文化財 【栄村】

由来・次第

 箕作の道陸神祭りは、「オンベ」と呼ばれる行事を中心にどんど焼きなどを行う、子どもが主役の行事。参加する子どもは数え歳で16歳以下の男子で、このうち最年長の子は「御館(おやかた)」と呼ばれ、祭りの総指揮をとる。
 道陸神はサイノカミ(塞の神)とも呼ばれ、邪悪を防ぎ旅人を守る神としての信仰もある。ここから、この地区に嫁いだ嫁や婿、また初孫など新規の住民を迎え、地区になじませるようにする意味があると考えられている。
 未明、子どもたちは、手にオンベを持って集落内の全戸を一軒一軒訪ね歩く。御館の「はじめ」の号令とともに全員が玄関で「道陸神の勧進用意」と叫び、続いて「出せ出せ」と大声でくり返しながら、家の壁や床板をオンベでドンドンと突く。
 オンベの一団は、前年に結婚した新婚夫婦のいる家や、初孫の生まれた家では、特別行事を行う。嫁を迎えた家では、嫁の背中に布団をかけて、その上からオンベで突く。婿は、箕作地区の人達で胴上げし、雪の中へ投げ込む。初孫のある家では、祖母がオンベで突かれる。
 最後に訪ねた家で、子どもたちはオンベを置いて家へ帰る。朝になると、豊高島神社の前の道陸神周辺へ正月の松飾りを持って集まり、ここで松飾りやオンベを焼く。このどんど焼きの火にあたると風邪をひかないとか、この火で焼いた餅を食べると、夏やせをせずにすむともいわれる。また、厄年の人は、ミカンやお菓子をまき、集まった人たちが拾い合う。

(写真 カシヨ株式会社)

●開催日/1月15日前後(年により異なる)
●開催地/栄村箕作

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