信州の伝承文化 -長野県無形民俗文化財-

野沢温泉の道祖神祭り 壮大な規模の道祖神の火祭り行事

国重要無形民俗文化財 【野沢温泉村】

由来・次第

 道祖神は、おもに村境や辻において災厄の侵入を防ぐ神とされ、子どもの成長や子宝祈願などの対象として、広く全国的にまつられている民間信仰の神である。北信地方では、初児の祝い、厄年の祓い、良縁祈願などの意味をもち、火をめぐる攻防戦を伴う道祖神祭りが伝承されている。とりわけ野沢温泉の道祖神祭りは、壮大な規模と古式をよく伝える次第、衣装、道具、歌、これらを受け継ぐ組織の強固さを誇る。
 祭りでは、野沢組惣代が総元締めとなり、保存会顧問や山棟梁、社殿棟梁の指揮のもと、42歳厄年を中心にした三夜講(さんやこう)の男性と、25歳の厄年の青年が作業を担う。社殿は、この三夜講の男性と25歳厄年の青年により15日の昼までに組み立てられる。
 1月15日夜「火元」の家で火打石で点火した松明(たいまつ)が道祖神場に運び込まれ、村内を巡っていた初燈籠も到着する。社殿から30メートル離れたところへ積まれた粗朶(そだ)ボヤに点火され、これを元火として火祭りが始まる。
 厄年以外の村の男たちが火付け役となり、社殿めがけて突入する。これに対し、厄年の男たちが火消し役となる。社殿前面に25歳の青年たちが、社殿上には42歳の男たちが陣取って応戦し、松の枝でオンガラの火をたたき消す。激しい攻防戦の後、手締めが行われ、社殿に点火される。燃え上がる社殿に、長男の成長を祈願して初燈籠が次々に燃やされ、祭りが最高潮に達する。

(写真 野沢組道祖神保存会)

●開催日/1月15日
●開催地/野沢温泉村

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